世界的ボディビルダーとして有名なリー・プリーストさんとは、一体どんな人なんでしょうか。
その生い立ちのほか、筋トレや食事法も気になりますね。
そのため今回は、「元ボディビルダー、リー・プリーストって?生い立ちや筋トレ・食事法を紹介」についてご紹介します!
リー・プリーストってどんな人?
リー・プリーストさんは、オーストラリア出身の元・プロボディビルダーであり、1972年(昭和47年)7月6日生まれ、現在49歳の男性です。
リー・プリーストさん自身の母がプロボディビルダーだったことから、幼少期よりボディビルおよび筋トレに興味を持ち、母と祖父の指導を受けながら、何と12歳から本格的な筋トレを開始したんですよ。
こう聞いて「えっ、父親じゃなくて母親がボディビルダーだったの!?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、オーストラリアは日本よりもはるかに筋トレ文化が発達しており、ジムでは年間を通して老若男女問わず多くの方が筋トレに励んでいますから、現地では何ら珍しいことではないんですよ。
ですが、12歳から本格的に筋トレというのは、オーストラリアにおいても相当早かったと言えるでしょう。
そして驚くべきことに、1986年…13歳の時に開催された「Sydney Bodybuilding Classic」というアマチュアボディビル大会での優勝し、さらに19歳でのプロカード獲得を皮切りに、ボディビルダーとしてのキャリアをスタートさせると、その後も数々のコンテストで優勝。
身長163cmという小柄な体格ながら、自身よりはるかに大きい選手達をコンテストで打ち破ってきたことから、現役の頃は「ジャイアント・キラー」の異名で呼ばれていたほか、他の追随を一切許さず「ボディビル史上最も太い」と言われるほどの腕を持ち、ボディビル雑誌のライターとして活躍する現在でも日々全身の筋トレを欠かさない、まさに「ボディビル界のレジェンド」と言える人物です。
そんな彼の生い立ちを、詳しく紐解いていくと・・・
リー・プリーストの生い立ち
リー・プリーストさんは1972年7月6日、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州・ニューカッスルに産まれました。
既述したように母親がプロボディビルダーだったことから、12歳から本格的に筋トレを始めた彼は、翌年の1986年、13歳の時に開催された「Sydney Bodybuilding Classic」というアマチュアボディビル大会に出場。
初出場であるにも関わらず、何と優勝を飾ったんですよ。
ちなみに、この大会にはリーさんのような未成年だけではなく、己の肉体に絶対的な自信を持つ大人達も出場していたんですが、そういった人達を抑えて優勝を果たした訳ですから、いかに日頃から徹底的に筋トレを行っていたのかが判りますよね。
それを実証するかのように、彼はこの優勝に満足するどころか「俺はこのボディビルの世界で生きていく!」と心に決め、それ以降そして高校に進学してからも、遊びにふける友達を尻目に、日々筋トレに打ち込んだんです。
いくら母親がプロボディビルダーで日常的に筋トレができる環境が身近にあったとは言っても、まるで世界的ロックバンド「BON JOVI」の「Its My Life」の歌詞を体現するかのような、あまりにも格好良過ぎる将来の決め方ですよね。
その並々ならぬ努力の甲斐あって、16歳で初出場したコンテスト「Mr.Australia」を、19歳までの4年間、何と4連覇。
ちなみに、この「Mr.Australia」というコンテストは、優勝を果たせばすぐにプロに認定されますので、本来ならここまでの偉業を成し遂げれば当然ながらプロボディビルダーとして称賛されるはずです。
ですが、オーストラリアではプロカード獲得における年齢制限があることから、これだけの輝かしい戦績を持ちながらも、オーストラリアでは若過ぎてプロにはなれなかったため、リーさんは年齢制限の無いカナダへと渡航。
カナダで開催されたコンテストで見事優勝を飾り、ついにプロカードを獲得することができたんです。
その後も、伝説のボディビルダーとしてその名を知られ、現在は俳優や実業家としても活躍しているアーノルド・シュワルツェネッガー氏の名前を冠したコンテストである「アーノルド・クラシック」や、プロ・ボディビル界の最高峰と言われている大会「ミスター・オリンピア」など、数々の大会に出場し、優勝もしくは好戦績をマーク。
ちなみにミスター・オリンピアでは優勝経験こそ無いものの、何とアーノルド・シュワルツェネッガー氏の連続優勝回数である7連覇をしのぐV8の記録を持つロニー・コールマン氏に、幾度となく土を付けているんです。
このことからも、リーさんのボディビルダーとしての実力がどれほどのものだったのかが判りますよね。
ですが、2013年に行われた「NABBA Mr. Universe」での優勝後、2015年に起きた自動車事故により首の神経を傷めてしまったことから、現役を引退。
現在は、ボディビル雑誌のライターとして活動し、自身の経験や知識を発信しているほか、自身のブランドを立ち上げ、アパレルやサプリメントの販売、また、シュワルツェネッガー氏と同じく自身の名前を冠した「リー・プリースト・クラシック」を主催するなど、プロ引退後もボディビル界に大きな影響力を与えています。
リー・プリーストの筋トレ法
繰り返しになりますが、リーさんは現役時から現在に至るまで、「ボディビルダー史上最も太い」と言われるほどの…まるで極太の丸太のような腕の持ち主です。
この腕をはじめ、良い意味で人間とは思えない超人的な肉体を武器に、自身よりはるかに身体が大きい選手達を次々に打ち破ってきたことから「ジャイアントキラー」という異名を欲しいままにした、彼の筋トレ法はどんなものなのかというと・・・
- とにかく徹底的に追い込む
- 内容を変化させる
- 休養日をしっかりと作る
というものがあります。
それぞれ順に解説すると・・・
とにかく徹底的に追い込む
これはリーさんのトレーニングにおいて核となるものなんですが、腕はもちろんのこと、鍛える部位にかかわらず、破壊するぐらいの勢いで徹底的に追い込むというものです。
事実、彼はトレーニングをする際、「破壊」という言葉を頻繁に使いますし。
そして、その破壊法とはまず、5~6回ほどこなせる高重量の重さで限界まで行い、次に12~15回ほどこなせる重さでまたも限界まで追い込むというものを最低でも20セットは行い、また、彼を象徴する腕の種目を行う際には何と約2時間をかけて行い、筋肉の張りや水分がなくなったと感じるまで続けるという…とてもストイックなものです。
一般的に、筋トレを行う際に効果的な回数・セット数は10回3セット、その際の時間は長くても45分~1時間と言われています。
それを踏まえ、リーさんのトレーニング法を見てみると、そういった一般論などどこ吹く風と言わんばかりのハイボリュームだということが判りますよね。
そう考えれば、まさに「破壊」の言葉がピッタリなのではないでしょうか。
現に、彼はこのトレーニング法について絶対的な自信を持っており、「インターネット上の情報なんかに惑わされず、ボディビル史上最も太い腕を持っている俺のやり方を真似ろ」とまで言い切っているほどなんですよ。
そこまではっきりと断言されれば、日々筋トレに励んでいる人からすると「確かにこの人が言うなら、それで間違いないのかも」と思ってしまいますよね。
このようにある意味、常軌を逸しているとも言えるリーさんのトレーニング法ですが、何とご本人いわく「俺には好きな部位とか得意な種目っていうのは無くて、実は全部が苦手で嫌いなんだ」とのことで、本気なのか冗談なのかは判りませんが、もし仮に本気なのであれば、苦手意識があるからこそ自身に対してそこまでの追い込みを課していると考えられます。
そして、リーさんは部位にかかわらず(腕は特に)効果的に追い込むために、同じ部位の種目をインターバル無し(もしくは1分以内)で2種目行う「スーパーセット」と言われる方法を採用しており、「筋肉をしっかりと張らせて筋肉量を増やすには、この方法が最適なんだよ」と言っています。
ただその一方で、「初心者にはオススメしない」とも語っているんですが、おそらくこれはその強過ぎる負荷を危惧してのことだと思われます。
既述したように、同じ部位の種目をほぼインターバル無しで2種目限界まで行う訳ですから、初心者の方にとってその負荷がいかに強いかは、プロからすれば安易に想像できますからね。
さらに、腕のトレーニング法に関して言えば、こだわりのひとつとして「必ずプリーチャー・カールをする」というものがあります。
プリーチャー・カールとは、「プリーチャー・ベンチ」と呼ばれる肘を置いて固定するための専用の台を使ってバーベルやダンベルを持ち、腕を曲げ伸ばしするというもので、主に力こぶの部分を指す上腕二頭筋を鍛えることができる種目です。
リーさんは自慢の腕を維持、もしくはさらに太くするために、現役の頃はもちろん現在でも、腕のトレーニングを行う際にはこれを必ず取り入れているんです。
リーさんいわく、「これによって、伸びた状態の筋肉に最大限負荷をかけることができるようになるから、腕の見栄えが良くなるんだ」とか。
やはり、「ボディビル史上最も太い腕を持っている」と言われる人のトレーニング法は、常人には考えられないほどハードなものだと言えるでしょう。
内容を変化させる
これは筋肉を成長させるにあたって、刺激(負荷)に慣れさせないようにするためにとても重要なことです。
というのも、筋肉というのは筋トレにおいてかけられる刺激によって成長しますので、いつもいつも同じトレーニング法で同じ刺激を与えてばかりだと、当然ながらそれに慣れてしまい、成長しなくなってしまうんですよ。
今まで面白くてずっと見ていたバラエティ番組が、同じような内容で面白くなくなる…みたいな感じですね。
リーさんはそのことを判っているからこそ、種目や重さ・セット数などを含むトレーニング内容を、毎回毎回少しずつ変化させていたんです。
たとえば、鍛える部位にかかわらず「今日は筋肥大させるために、高重量・低回数」を、あるいは、「今日はパンプアップさせたいから、低重量・高回数」をというように…。
こうすることによって、筋肉は刺激に対して慣れることなく、「うわっ、今日も新しい刺激だ。今の大きさじゃ対応できないから、もっと大きくならないと!」というように、延々と成長を繰り返すという訳です。
それになにより、いつも同じ内容のトレーニングばかりしていては、自分自身が飽きてしまいますからね。
ちなみに、筋肉の成長ということに関して言えば、リーさんはボディビル界では禁止薬物とされている筋肉増強剤、いわゆる「ステロイド」(正式にはアナボリック・ステロイドと言います)の使用についても、「現役の時にはもちろん使っていたよ」と意外なほどあっさりと認めているだけでなく、どんな種類のものをどれぐらいの頻度で使っていたかまで正直に暴露しているんです。
本来、この世界ではステロイドの使用有無に関して、「聞かない・話さない」というのが暗黙の了解であり、国内外問わず多くのボディビルダー達が語りたがらないこのテーマについて正直に話しているリーさんは、人間的にとても魅力的ですよね。
とは言っても、プロになる前の彼の快進撃を見ても判る通り、ステロイドを使用する前からずば抜けた肉体を誇っていたわけですが、見方を変えれば、それだけの肉体を持っていてもステロイドを使用しなければ好戦績を収められないほど、世界の壁は厚かったということなのでしょうね。
休養日をしっかりと作る
これも筋肉を成長させるにあたってとても重要なことのひとつなんですが、リーさんは「上半身と下半身に分けて、丸々休ませる日を作ることが大切だ」と言っています。
そもそも、筋肉というのは筋トレの最中ではなく、筋トレを行っていない時…つまり、休んでいる時に成長します。
ですので、毎日ひたすらどこかしらの筋トレを行ってしまうと、当然ながら回復する暇がないため、筋肉が付くどころか反対に細くなってしまうんですよ。
ストイックな人であればあるほど、「筋トレは毎日やらないと意味が無いんだ・1日でも休んだら筋肉が落ちる!」と考えがちなため、どうしても毎日トレーニングしてしまう傾向が強いんですが、リーさんをはじめ多くのボディビルダーの方はこのことをしっかりと理解しているため、休む時には何も気にせずゆっくりと休むんです。
こういうふうに書くと、中には「部位を変えれば、毎日やっても大丈夫なんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは大きな間違いです。
腕を例に取って言うと一見、腕とは何の関係も無いように思える背中や胸の種目を行っている時であっても、メインターゲットとしてではないもののサブのひとつという位置づけで使われています。
つまり、自分では使っているつもりがなくても、使われている場合があるということです。
事実、背中の種目で一般的な背筋運動として知られている「バックエクステンション」であっても、背中を反らしている際に腕がしっかりと活躍していますしね。
このことから、「今日は背中の日で腕はやらないから、背中を徹底的に追い込むぞ!」と考えるのではなく、「上半身をゆっくり休ませて、今日は脚を含めた下半身のトレーニングをしよう」、あるいは、「今日は筋トレせずに、超回復(使った部位の筋肉を休ませることで成長させ、以前よりも強い状態にすること)を兼ねてゆっくり休もう」と考えるようにすると良いでしょう。
ただし、筋トレを休むからと言って、食事や睡眠をおろそかにしてしまっては本末転倒ですので、食事に関しては常にタンパク質を多く摂取する、また、睡眠に至ってはリーさんいわく「1日10時間摂るべきだ」と言っています。
さすがに1日10時間の睡眠というのは我々には難しいかもしれませんが、彼ほどのハードな筋トレをしていればそれくらいがベストなんでしょうね。
このように「破壊」という言葉がピッタリ当てはまるような尋常ではない追い込みと、筋肉を効率的に成長させるための定期的なメニューの変化・そして休養と、基本的なことから作られているリーさんの肉体ですが、ある意味筋トレ以上に大切だと言われている食事に関してはどのように取り組んでいたのかというと・・・
リー・プリーストの食事
- 5つのカテゴリーからそれぞれ1つを選んで食べる
- オフシーズンは食事制限をしない
ということが挙げられます。
それぞれ解説すると・・・
5つのカテゴリーからそれぞれ1つを選んで食べる
リーさんはオンシーズン(コンテストに向けて身体を引き締めていく時期)の際、摂取する食品をタンパク質・炭水化物・良質な脂質・野菜・フルーツという5つのカテゴリーに分類し、その中からそれぞれ1つを選び、1日6食を食べていたと言われています。
そのカテゴリーに入るものは、たとえばタンパク質であればステーキや鶏むね肉・卵、炭水化物であればパスタや玄米
といったものです。
ですので、リーさんの食事例としては、
- ステーキ
- パスタ
- チーズ(脂質)
- サラダ(野菜)
- バナナ(フルーツ)
これをカテゴリー別にメニューを変え、1日6食を食べていたんですから、さすがはボディビルダーですよね。
一般的に彼を含むオーストラリア人は、全体的におおざっぱな人が多いと言われているんですが、オンシーズンの際の彼はこれには当てはまらなかったと言えます。
それどころかきっちりとカテゴリー別に分け、その中からチョイスするというバランスの取れた食生活こそが、163cmという小柄な体格ながら前述したロニー・コールマン氏や、その他大勢の名だたるボディビルダー達を打ち破ってきた「スーパーボディ」を作る秘訣だったのではないでしょうか。
オフシーズンは食事制限をしない
このようにボディビルダーとしてオンシーズンは徹底した食事管理を行っていたリーさんですが、オフシーズン(摂取カロリーを増やし、体重を増やす時期)に関しては一切食事制限をせず、好きなものを好きなだけ食べるという生活を送っていたことで知られています。
だからなのか、オフシーズンの際の彼の体型はとてもボディビルダーとは思えないほどの完全な肥満体なんですよ。
事実、筆者である僕もその写真を初めて見た時には、2011年に関西テレビ系列で放送されたTVドラマ「マルモのおきて」での阿部サダヲさんのように、思わず「ええ~~っ!?」と言ってしまいましたから。
一般的にボディビルダーの人達は1年を通してストイックな食事制限を行う人が多数ですので、彼のようなタイプはとても珍しいんですが、これには(これにも?)「人生は1度しかないんだから、せめてオフシーズンの時ぐらいは好きなものを好きなだけ食べるべきだ」という彼なりの持論があり、「オフシーズンにまで減量食を食べなきゃいけないなんて、俺には考えられない」んだとか。
こう聞くと、中には「ストイックさが足りないんじゃないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これも見方を変えれば、オンシーズンにはしっかりと節制しているから、たとえオフシーズンで太ったとしても、コンテストまでにはちゃんと身体を仕上げられるという絶対的な自信があるから…なのではないでしょうか。
実際に、「ミスター・オリンピア」や「アーノルド・クラシック」をはじめとした様々なコンテストでは、これでもか!というぐらい完璧に身体を仕上げ、優勝もしくはそれに近い好戦績を残していた訳ですからね。
そう考えれば、彼は本当の意味での「プロ中のプロボディビルダー」だったと言えるでしょう。
まとめ+関連記事
12歳から筋トレを始め、徹底した追い込みや独自の食事法で、ボディビル界に多くの伝説を残したリーさん。
これからも元気で頑張ってほしいですね。
今のだらしない自分を変えたい・リーさんみたいな身体になりたいと思った方…初めに背筋から鍛えてみてはいかがでしょうか?
背筋を鍛えるメリットや、その種目をご紹介した記事がありますので、参考にしてもらえると嬉しいです。
この他にも、元K-1選手のシリル・アビディさんの人物像をご紹介した記事がありますので、こちらも読んでもらえると嬉しいです。