リコの興味しんしん

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シヴァ神ってどんな神様なの?インド神最強説は本当?

※はじめに 本記事には宗教に関する記述が含まれますが、特定の宗教を賛辞したり否定したりする意図はありませんので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

インド神話に登場し、TVゲームの世界でも名を知られているシヴァ神ですが、一体どんな神様なのでしょうか。
また一説にあるインド神最強説についても気になりますね。
そのため今回は「シヴァ神ってどんな神様なの?インド神最強説は本当?」をご紹介します!

シヴァ神ってどんな神様?

シヴァ神インドやネパールで信仰されているヒンドゥー教の神様で、同教において最も影響力を持つと言われる「三大神」の1柱です。

シヴァという名前は、日本語で言うと「吉祥」という意味になるんですが、彼はこの他にも古代インドで使用されていた言語であるサンスクリット語で「偉大なる神」を意味する「マハーデーヴァ」や「恩恵を与える者」を指す「シャンカラ」など、何と計1116個もの名前を持っているとされているんですよ。

ちなみに、三大神はそれぞれ「創造」や「維持」の役割があるんですが、シヴァ神のそれは「破壊」です。

こういうふうに書くと「せっかく作ったり維持したりしているものを壊すなんて、とんでもない神様だなあ」と思う人もいるかもしれませんが、シヴァ神が破壊するのは「終わりに近づいた世界」のみなんですよ。

いずれこの世が終焉を迎えることとなった時、僕達人間をはじめ生きとし生ける全ての者のために額にある「第3の目」を開き、そこから発せられる灼熱の炎で焼き尽くして破壊して下さる(?)という訳です。
やはりありがたいですね。

ですが、その見た目は青い肌にもつれた長髪・首には「ルドラクシャ」と呼ばれる菩提樹の実で作られている数珠とコブラを巻いている・虎皮で作られたふんどしを履いているなど、とても神様とは思えないほどおぞましいんです。

またインド神話によると、若い頃(年齢は不詳ですが)はヒンドゥー教の聖地と言われているヴァラナシの火葬場に住んでおり、仲間の悪鬼達を引き連れて暴れまわっていたと言われているほか、その性格は非常に短気でかんしゃく持ちであり、怒らせた相手の命を奪った後は、その身体の上で勝利のダンスを踊るのが恒例なんだとか。

こう聞くと「本当に神様なのか!?」と疑ってしまうぐらいに恐ろし過ぎますよね。

もしも僕がシヴァ神を全く知らずに、どこかでバッタリ会ったら(そんな訳あるかっ!)、あまりの恐怖に失神してしまうことでしょう。

ですがその見た目や気性の荒さに反して(?)、病気を治すというまるで医師のような力を持っているほか、子宝に恵まれる・様々な災難から守ってくれる(厄除け)など、名前と同じように数えきれないほどのご利益があることから、インドやネパールには非常に多くの信徒の方がいると言われています。

シヴァ神の性格を解説

ではそんなシヴァ神の性格はというと・・・

  • とにかく短気
  • 奥さんを大切にする愛妻家
  • 実はとても慈悲深い


などがあります。

それぞれ順に解説すると・・・

とにかく短気

これはある意味シヴァ神を言い表すのにピッタリの表現なんですが、彼は三大神の2柱を含めその他大勢の神様達から恐れられているほど、とにかく短気な性格をしています。

何でも自身と同じ三大神の1柱であるブラフマーとケンカになった際には、武器として持っている剣で5つあるとされている彼の首をひとつはね飛ばしたと言われていますし。
ちなみにこの件があったことで、ブラフマーの首の数は4つになったんだとか。

それに関連したエピソードをもうひとつ紹介すると、自身の妻であるパールヴァティー女神が入浴中に息子のガネーシャに見張りを依頼。

しばらくして外出中だったシヴァ神が帰宅し、息子のガネーシャと遭遇したんですが、本来ならば…
シヴァ神「おうガネーシャ。帰ったぞ!」
ガネーシャ「お父さん、お帰り!」
…みたいな会話があるはずですよね。

ですがこの時、2人はお互いの存在を知らなかったため、双方が「お前は誰だ!」と口論するハメに。

というのも、実はガネーシャは入浴中のパールヴァティー女神が自身の身体から出た垢(あか)で形を作り、それに命を吹き込んで誕生したんです。

シヴァ神からしてみれば、自らが主である家に突然現れた見ず知らずの者に言いがかりをつけられたも同然ですから、怒り狂った彼はブラフマーの時と同じく、持っていた剣でガネーシャの首をはね、はるか彼方へ投げ捨ててしまったんですよ。

そして、入浴を済ませたパールヴァティー女神は、この惨劇を目撃するや、息子の哀れな姿を嘆き悲しむと同時に、夫・シヴァ神に対して「あなた一体何考えてるの?この子は私たちの息子なのよ!今すぐ首を探してきなさいっ!」と大激怒。

とても短気で恐れ知らずな性格のシヴァ神ですが、一方で奥さんをとても大切にする愛妻家であることと、パールヴァティー女神を怒らせると、自身より恐ろしい外見・性格に豹変する(後述)ということを知っているので、怒り心頭な妻を何とかなだめ、すぐさま首を探しにレッツゴー。

しかし、いくら探しても見つからなかったため、最終的に自身の前を通った象の首をはねて持ち帰り、それをガネーシャの首に付けたんです。
この件があって、ガネーシャの頭は人間ではなく象になったと言われているんですよ。

いくら存在を知らなかったとはいえ、何も首をはねなくてもと思いますが、まさに彼の性格を見事に言い表しているエピソードですよね。

「混ぜるな危険」ではなく、「怒らせるな危険」という言葉がピッタリ当てはまる神様と言えるでしょう。

奥さんを大切にする愛妻家

上のエピソードの中でも触れましたが、シヴァ神は非常に短気な性格でありながら、その一方で奥さんをとても大切にする愛妻家の一面も持っています。

これもインド神話に基づいてご紹介すると、パールヴァティー女神の前世は「サティー」という女性であり、双方共に恋心を抱いていました。

ですが、その思いに反し、彼女の父であるダクシャという神は普段からシヴァ神のことを快く思っていなかったため、結婚適齢期を迎えたサティーのお見合いの場にシヴァ神を招待しなかったんです。

しかし、「私の心の中にあるのは、シヴァ様だけ!」という思いが届いたのか、そこに突如シヴァ神が登場。

未来の夫に送る花輪を受け取り、晴れて2人は夫婦となったんですが、ダクシャは相変わらずシヴァ神を嫌い、夫婦の仲を疎ましく思っていました。

さらにダクシャはその後しばらくして行われた神々を招いての祭事にもシヴァ神を招かず、そのことを嘆いたサティーは何と燃え盛る炎の中へ自ら身を投げてしまった
んです。

そのことを祭事に参列していた別の神から聞いたシヴァ神は、当然ながら大激怒。
我を忘れて現場へと乗り込み、ダクシャの首をはねた後、あまりの悲しみに狂気に憑りつかれ、サティーの遺体を胸に抱いた状態で各地を放浪しながら、数々の都市を破壊して回りました。

そしてそんなシヴァ神を見かねた三大神の1柱である「ヴィシュヌ神」が、自らの武器である円盤を投げサティーの遺体をバラバラにしたことで、ようやく正気を取り戻したシヴァ神は、やがてパールヴァティーとして転生した女性を妻とし「こいつは何があっても俺が守る!」と決意したと言われています。

このことがあったからこそ、既述した息子・ガネーシャの件の際も、パールヴァティー女神に言われるやいなや、すぐに首を探しに行ったんでしょうね。

そう考えれば、どこの国でもいつの時代でも、男性は女性には弱いものであると言えるんではないでしょうか。

実はとても慈悲深い

気が短い一方で愛妻家という性格をしているシヴァ神ですが、同時にとても慈悲深いという一面も持っています。

というのも、時には普段あれほど大切にしているパールヴァティー女神の「かまって攻撃」を無視して衆生(人間を含む、この世に生きとし生けるものの総称)のために何千年も瞑想を行ったという逸話のほか、病気やけがで苦しんでいる者に対しては惜しみなく救いの手を差し伸べ、治療してくれると言われているんですよ。

事実、シヴァ神のファンである僕も、擦り傷や切り傷など何かしらのけがをした時には、自室の壁に飾ってあるシヴァ神のポスターに向かって「早く治りますように、お力をお貸し下さい」とお祈りするんですが、そうすると本当に不思議なことにものの数日で傷が完全に治るんです。

これらの話を見ると「本当は優しい神様なんだなあ」と思えますよね。
もちろん、あくまでも怒らせなければですが・・・。

既述したように、シヴァ神が司っているのは「破壊」なんですが、その反面こういった慈悲深い一面もあることから、ヒンドゥー教の中でも「シヴァ派」と呼ばれる彼の信徒数はインド全土で言えば、日本の人口を軽く上回っているんです。

そう考えれば、やはり人間というのは「怒らせると怖いけど、普段は優しくて思いやりがある」という、言わば男らしい人物に心惹かれるということなんでしょうね。

インド最強説は本当か?



ここまで書いてきたように、第一にとても短気な性格をしており、一度スイッチが入ると怒りに我を忘れてしまうほどの凶暴さを持っていることから、一部では「インド神の中で最強なのでは?」という説があるシヴァ神ですが、残念ながらそれは本当ではなく、彼を凌ぐ強さを持つ神様が1人存在しています。

それは何を隠そう、彼の妻であるパールヴァティー女神なんですよ。

こう書くと、中には「いやいや、そりゃあシヴァ神は愛妻家だから、奥さんに頭が上がらないだけだろう」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、そういう意味ではなく、純粋に戦いとなった時の強さを指しているんです。

というのも、パールヴァティー女神は普段はとても穏やかで優しい性格をしていますが、怒りに火が付くとヒンディー語で「近寄りがたい者」を意味する戦いの女神・ドゥルガーに、さらに怒りが頂点に達すると「殺りくと恐怖の女神」と称される「カーリー」に変身するんです。

ちなみにドゥルガーの姿をしている時は、シヴァ神も「ほう、相変わらずなかなかの暴れぶりだな」という感じで楽観しているんですが、彼女がさらに立腹しカーリーの姿になった時には「あっ、これはさすがにまずい・・・」と思うのか、何と狂乱している彼女の足元に寝そべり、自らを踏み台にすることで暴走を止めるという捨て身の方法を取るんです。

あの「超」が付くほど短気でイケイケな性格のシヴァ神がここまでするんですから、カーリーとなったパールヴァティー女神の吹っ飛びぶりは相当なものであるということが判りますよね。

そう考えれば、ひょっとするとガネーシャの首の件の時も怒りのあまりカーリーに変身しかけ、それに危機感を感じたシヴァ神は「わかったわかった!今すぐ探してくるからとにかく落ち着いてくれ!」と必死にパールヴァティー女神をなだめ、すぐさま首を探しに行ったのではないでしょうか。

もっとも、結局見つからずに象の首を持って帰ってきて付け、それで許してもらえたというのは「えっ、何それ!?」と思わず拍子抜けしてしまいますが。

このようにインド神最強では無いものの、奥さんであるパールヴァティー女神に対して優しく思いやりのあるシヴァ神は、ある意味とても「人間味のある神様」という言葉がピッタリですね。

まとめ

非常に短気な性格ながら、愛妻家であり、病気を治したりなどの恩恵を与えてくれるシヴァ神
まさに「強くて優しい男そのもの」と言えるでしょう。