リコの興味しんしん

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各々の興味・関心事などに関する雑学を書いていきます。

だんじり祭りって何?その歴史や魅力・見どころを解説!

関西地区で岸和田市の名物として知られているだんじり祭りですが、そもそもどういったものなのでしょうか。
また、その歴史や魅力、見どころなども気になりますよね。
そこで、「だんじり祭りって何?その歴史や魅力・見どころを解説!」をご紹介します。

だんじり祭りとは何か

だんじり祭りとは、大阪府南部の泉州地区に位置する岸和田市が発祥とされ、毎年9月(地区によっては10月や、夏場の所も)に開催されるお祭り(元来は神事)であり、何人もの屈強な男達が、重さ約4トンを超えると言われる欅作りのだんじり(山車/だし)を全速力で走って曳(ひ)き回すという…とても勇壮なものです。

おそらく、大阪府内に住んでいる人であれば「だんじりと言えば岸和田・岸和田と言えばだんじりの本場」とイメージできるのではないでしょうか。

とは言っても、だんじり祭りが行われているのは岸和田だけではなく、堺市泉佐野市などの泉州地区をはじめ、東大阪市や八尾市などの河内地区、大阪市内の一部のほか、神戸、尼崎といった京阪神地区でも年に1度のお祭りとして開催されています

このように、広範な地区でだんじり祭りが開催されていることからもわかると思いますが、だんじりは注目度も人気も、そして、熱中度もかなり高いんです。

何と言っても、本場・岸和田では、祭りが開催されている2日間は学校も会社も休みになるほどですからね。

いかに市民の皆さんがだんじり祭りに夢中になって(命を懸けて?)いるかが判りますよね。

ですが、冒頭でもご紹介したように、だんじり祭りは重さ4トンを超えるだんじりを屈強な男達が全速力で曳き回す勇壮な祭りであることから、時として転倒・衝突事故などが起こってしまいます

このようなことが起こってしまうこともあることからなのか、地区を問わず何年も前から「あんな危ない祭りはやめる(廃止にする)べきでは」という声もあるんですが、現在でも廃止されずに多くの人々を熱狂させていることを考えれば、これからも泉州および河内地区(だんじりを激しく曳き回すのは、この地区のみ)において末永く続いていくことは間違いないと言えるでしょう。


では次に、そんなだんじり祭りの歴史をご紹介していきます。

だんじり祭りの歴史とは

だんじり祭りの歴史は約300年前の江戸時代にまで遡り、1703年(元禄16年)に当時の岸和田藩主だった岡部長泰(おかべ ながやす)氏が五穀豊穣を願い「稲荷祭り」を行ったことが始まりとされています。

当時は「穀物が良く採れますように」という趣旨のお祭りだった訳ですが、それが徐々に姿を変えて現在まで受け継がれているのは、歴史を感じるのはもちろんですが、どこかとても感慨深いものがありますよね。

なお、泉州地区で「鳴り物(河内およびその他の地区では囃子/はやしと言います)」と呼ばれる笛や太鼓の音に関してですが、当初はだんじり自体が「長持」と呼ばれる和櫃(わひつ)に車輪を付けた簡素なものだったと言われていて、太鼓はその上で叩き、笛は周囲で思い思いに吹いていたんだとか。

欅作りで重さ4トン超えのだんじり、鳴り物は各町ごとに存在する青年団の中から選ばれた男性達が担当する現在のものとは、全く違いますよね。

ちなみに、だんじりの形は、①主に本場・岸和田およびその近辺(泉大津市の大津神社地区は例外)で使用されている岸和田型とも呼ばれる下(しも)だんじり、➁大阪型・神戸型などがあり、堺市などその他の地域で見られる上(かみ)だんじりの2つに分かれており、正面から見た際の屋根の形や側面の彫り物の有無など、細かな違いがあるのが特徴です。

このように、約300年の時代の流れと共にその姿・形を変えてきただんじりおよびその祭りですが、当時から現在に至るまで「地域の結びつきを深める」という…人と人との関りにおいて大切なものを守り続けていると考えれば、泉州・河内をはじめとした関西地区のみならず日本全国に広まるべきお祭りと言えるのではないでしょうか。

次は、だんじり祭りの魅力について書いていきますので、「だんじり祭りに興味があるから、ぜひ魅力を知りたい」という方は、言わずもがな必読ですよ。

では早速。

だんじり祭りの魅力とは

重さ4トンを超える欅作りの山車を全速力で走り曳き回すことから、勇壮な反面、危険な側面もあるだんじり祭りですが、その魅力にはどんなものなのかというと・・・

  • やりまわし
  • 鳴り物
  • 彫り物


などが挙げられます。

順に解説すると・・・

やりまわし

やりまわしとは、急な曲がり角を極力速度を落とさずに曲がりきるというもので、主に泉州地区、河内地区なら東大阪市だんじり祭りにおいて最大の見せ場と言えるシーンです。

おそらくですが、だんじり祭り以外の山車を利用するお祭りの中には、曲がり角になると曳くスピードを緩めて通過しますよね。

ですが、だんじり祭りにおいて、それはNG。

それどころか、だんじりを曳く人達はいかに華麗かつ綺麗にやりまわしを決めるかに全てを懸けているので、祭り当日の何日も前から何度も何度も入念な練習を行い、角を曲がるタイミングを「寸分の狂いも無い」というぐらいまで、徹底的に合わせるんです。

ですが、曲がるタイミングが合わなかったり、雨などで路面コンディションが悪かったりで、派手に転倒してしまったり、住宅の壁や屋根、お店の看板・電柱などに衝突し破壊してしまうことも…。

ブレーキが付いていない訳ではないので、急カーブの直前では多少なりとブレーキをかけて速度を調整するんですが、やはり人力で行っていることですから、限界がある訳ですね。

そして、だんじりが転倒してしまったり何かに衝突してしまったりした際には、祭りを観覧している人達から一斉に「あ~~っ!!!!」という悲鳴・絶叫や、「う~わ、やってもうた(やってしまった)」といった落胆の声が上がるんですよ。

ちなみに、筆者である僕もだんじり祭り好きの1人ですので、以前岸和田に遊びに行った際に「事故集」と銘打たれた、転倒・衝突などにスポットを当てたDVDを購入したんですが、今でもその映像を見るたびに上記のような悲鳴を挙げています。
ある意味、良い発声練習になっているかも。(そういう問題じゃないっ!)

冗談はさておき、やりまわしは成功と失敗が紙一重であることから、曳き手も観覧している人達も最もヒートアップする瞬間ですので、もしチャンスがあればぜひその瞬間を現地で体感して下さい。

そうしたら、曳き手の勇ましいあるいは衝撃的な姿があなたの目と心に焼き付き、「見る前はどんなものかと思って少し怖かったけど、見て良かった。また来年も来たいな」と思うこと必至ですよ。

鳴り物

鳴り物とは、大太鼓・小太鼓・鐘・笛の4種類で構成されている囃子(はやし)のことであり、やりまわしと同じく、だんじり祭りに欠かせないもののひとつです。

どの町も鳴り物はやりまわしと同じくらい、下手をすればそれ以上に気合いが入っているほか、その練習も本番の2~3か月ほど前から毎日取り組むという熱の入れようなんです。

各町の青年団から選ばれた男性達がだんじりの中に乗り込んで交代で行うんですが、年齢で言えば主に16~20歳までの若い世代が多いのが特徴なんですよ。

また、この鳴り物は各町ごとに太鼓や鐘のリズムが異なっていることから、ひとつとして全く同じものは無く、俗に言う「だんじり命」の人からすれば、テレビやYOUTUBE等で鳴り物の音を聞いただけで、画面を見なくても「あっ、この鳴り物は〇〇町のやつだ!」と判ると言いますから。

だからなのか、特にだんじりの腰回りの内部に綱で吊るされている大太鼓のバチさばきは、どの町も「他の町(ちょう)には絶対負けない。俺達の町が1番なんだ!」という声が聞こえてきそうなほどパワフルであり、エネルギーに満ち溢れているんです。
そう考えれば、やりまわしとはまた違った意味で、若いエネルギーが溢れていると言えるでしょう。

ちなみに、そういった力強い演奏が印象的な日中の曳行(えいこう)に対し、岸和田では夜に行われる「灯(ひ)入れ曳行」なるものもあり、この際の主役となるのは、青年団の若い男性達ではなく、幼い子供達。

日中とは打って変わって、ゆっくりとしたスピードで町内を行くだんじりの中では子供達が鳴り物を担当し、思い思いに太鼓や鐘を叩いて楽しむほか、日中にはだんじりの後ろを走って追いかけるだけだった女性達(岸和田では、女性は高校を卒業するとだんじりを曳くことはできません)も、だんじりの綱を持って一緒に歩いたりできるんです。

他の地域であれば、女性が男性に混じってだんじりを曳いたり、だんじりの屋根の上で踊りながらはしゃいでいる場合もあるんですが、岸和田ではそれが認められていません。

ですので、女性や子供達にとってはまさに夜だけの特権であり、そういう意味ではやはり「男達の祭り」という感じがしますよね。

なお、「男達の~」にちなんで、岸和田だけの特色をひとつご紹介すると、鳴り物を担当する青年団についてなんですが、岸和田以外の泉州地域をはじめとした他のエリアの青年団達の髪型や色が自由なのに対し、岸和田のそれは「短髪・黒髪」という暗黙の了解があり、普段は茶髪や金髪にしている彼らも、祭りが近付くと一斉に髪を黒に染めて短髪にするんだとか…。

このあたりにも「だんじり祭りの発祥地」としてのプライドと、「祭りに携わる男は硬派であれ」という彼らの気持ちがひしひしと伝わってくる気がしますね。

このように、硬派かつ良い意味で暑苦しさを感じる男性達が、「他の町に負けてたまるか!俺達の町が1番だ!」という気持ちで打ち鳴らす鳴り物の音は、1度聴けば忘れられないほどパワフルかつ重厚なものですので、彼らが奏でる「魂の音」を、やりまわしと同じくぜひ現地で聞いてみて下さい。

きっと彼らの熱い気持ちが、あなたの心にズドンと響いてくることでしょう。

彫り物

岸和田をはじめとした泉州地区のだんじりに施されている彫り物は、主に歌舞伎や浄瑠璃の世界で取り上げられている歴史上の出来事や物語がモチーフになっており、細かい部分まで精巧に彫られているその模様は「動く芸術品」と言われています。

なお、価格に関して言えば、だんじり1台分のそれは何と平均1億円にもなるんだとか。

こう聞くと、かつてTVドラマ「マルモのおきて」に出演されていた阿部サダヲさんのように、思わず「え~~っ!!!!!」と言ってしまいそうになりますよね。

実はだんじりを作る欅は何と樹齢300年を超える大木であり、その大木に漆塗りや金箔などを一切使わず、欅の木目を存分に活かした上で、歴史上の人物のほか、花鳥・唐草模様などを施しているんです。

ですから、それだけの価格になるのも納得できます。

また、そのような模様を施すことができる岸和田の彫り師さんや大工さんの腕が、いかに素晴らしいかも伺い知れるのではないでしょうか。

なお、岸和田を例にとって言えば、上でご紹介した鳴り物と同じく、この模様も町ごとに異なっており、ひとつとして同じ物が無いのも特徴ですので、だんじり祭りファンの人達からすれば「〇〇町の彫り物が1番カッコいい・シブい!」というように、だんじり祭りそのものはもちろん、彫り物ファンの方もいらっしゃるんですよ。

このことからも、やはりそれぞれの町が「俺達の町が1番だ!」(しつこい?)との思いで競い合っているのは、想像に難くないと言えますよね。

日中にやりまわしなどで激しく曳き回されている際は食い入るように見ることはできませんが、休憩時などに責任者の方に申し出れば、じっくりと見ることができますので「だんじりの彫り物が好き」という方は、ぜひその時に狙いを定めて、その芸術的なアートから彫り師さん・大工さんの腕の良さ、そしてセンスを感じ取って下さい。


では、ラストにだんじり祭りの見どころについて解説していきますので、実際に現地で観覧する際の参考にしていただければ幸いです。

だんじり祭りの見どころ

だんじり祭りの見どころは、どんなものがあるかというと・・・

  • パレード
  • かち合い
  • 大工方

などがあります。

それぞれ順に解説すると・・・

パレード

パレードは、本場・岸和田で2日間あるうちの初日にお昼1時から行われ、くじ引きで決められた順番にだんじり南海電鉄岸和田駅前にある商店街を駅に向かって曳行しながら、仮装をはじめとした様々な余興が催されます。

そして、駅前で各町がそれぞれのやりまわしを決めた後、左右に分かれて曳行していくんですが、このパレードは「初日のメインイベント」と言われており、胴上げをしている歓声やクラッカーを打ち鳴らす音などで、まさにメインイベントにふさわしい盛り上がりになるんですよ。

それを証明するかのように、当日のお昼12時頃に駅前に行くと、祭りの関係者の方はもちろんのこと、大勢の見物人の方々でごった返しているんだとか…。

僕もYOUTUBEでパレードの様子を見たことがあるんですが、やりまわしを行う時のようなスピードは無いものの、やはり重さ4トン越えのだんじりが通り過ぎて行く様子はまさに圧巻の一言であり、そのつど沸き起こる見物人の方々の歓声も凄いものがありました。

このことから、もしもあなたが「だんじりを激しく曳き回す姿も良いけど、少し気を抜いたお遊びも見てみたいな」と思うのであれば、このパレードは言わずもがな必見ですよ。

普段荒くれている男達のおちゃらけた姿は、きっとあなたを笑顔にしてくれることでしょう。

かち合い

かち合いは主に泉州地区の泉大津市・濱八町(はまはっちょう)地区(大津地区8町の通称)でのみ見られ、自町のだんじりを止まっている他町のものに後ろからぶつけるというものです。

その起源は何と町同士の喧嘩とされ、かつては祭りにおいて町同士の揉め事が頻発しており、その際にお互いのだんじりを激しくぶつけ合っていたことが始まりとされているんですよ。

しかも、1960年代ごろまでは相手側の合意無くぶつけていたため、そのせいで揉め事に発展することが多々あったんだとか…。

一般的に荒くれ者が多いというイメージが強い泉州地区ならではのような気がしなくもないですよね。

ちなみに、このかち合いが行われる意味合いとしては、岸和田をはじめとした他の地域が五穀豊穣を願ってだんじり祭り自体を行うのに対して、この泉大津・濵八町地区においては、それ以外にも子孫繁栄を願っているとされています。

こう聞いて、「だんじりの当て方から考えたら、何かちょっとな・・・」と考えてしまった方!
邪推はいけませんよ。

だんじり祭りは地域に関係無く、元来は神事ですから。

それはともかく、かち合いはやりまわしと同じく、その迫力は凄いものがあり、当てられた側のだんじりに乗っている人は勢い余って前に飛び出そうになるほどですので、濵八町地区のだんじりは前後共に至る所に欠けやへこみがあるんです。

このことから、その衝撃がどれだけのものかよく判りますね。

これはある意味、町としてのプライドはもちろん、男としてのそれも懸かっていますから、祭りの期間中は下手をすると岸和田の人達よりも気合いが入っているかもしれませんね。

その並々ならぬ気合い・迫力を感じるには、やはり現地での観覧が1番ですから、「岸和田のやりまわしも良いけど、泉大津ならではのかち合いも見てみたい」という方は、ぜひ現地に足を運んで、町の…そして男のプライドを懸けた泉州男児の心意気をその目に焼き付けて下さい!

きっと彼らの熱き魂があなたの心を「これでもか!」と言わんばかりに揺さぶり、泉大津以外の町で生まれ育った方からすれば「凄いなあ。俺も泉大津に生まれてかち合いに参加したかったよ!」と思いますよ。

大工方

最後にご紹介する大工方を簡潔に言うと、大工方はだんじりの屋根の上で両手にうちわを持ち、踊っている人のことを指します。

だんじりに興味がある人であれば、おそらくテレビやYOUTUBEなどで1度は彼らの姿を見たことがあるのではないでしょうか。

一見すると、彼らは好き勝手に踊っているように見えますが決してそうではなく、実はあの踊り…厳密には手の動きを通して、後方でだんじりを曳いていて前を確認することができない「後梃子(うしろてこ)」の人達に対して進行方向を示しているんです。

その他にも、自らをアピールする手段として、屋根の上を飛び跳ねながら身体の向きを変える・両手を広げて片足で立つなどがあり、様々なパフォーマンスを見せてくれるんですよ。

約4mほどの高さがあると言われている屋根の上で、そんな技を披露するとは当然ながらかなりの度胸が無ければできないことですよね。

それだけに、大工方の人達は「祭りの華」と呼ばれ、岸和田を含む泉州地区に住んでいる幼い子供達の憧れの的になっています。

事実、過去に岸和田で大工方を務めていた人によると、大工方は「岸和田に住んでいる男達の小さい頃からの夢」であり、屋根の上に乗るのは「怖いよりも嬉しい気持ちの方が強い」んだとか。

心底だんじり祭りのことが好きでなければ、言えない言葉のような気がしますね。

ただ、そういった危険を冒しながら大工方を務めている以上、やはり時としてだんじりの転倒や衝突により、屋根から転落して手足を骨折したり、運が悪ければ命を落としてしまうこともありますので、決してオーバーな表現ではなく本当に命がけなんです。

だからこそ、「祭りの華」と呼ばれ、子供たちの夢になり得るんですね。

そして、気になるその選出方法に関してですが、選出するのはその町で過去に大工方を務めていた方、もしくは青年団の先輩達であり、その際に重要視されるのは運動神経の良さと度胸だそう。

万が一の時の危険性を考えれば、その部分がきちんと備わっていなければならないのは当然ですよね。

そこをクリアした命知らずの勇ましい男性だけが選出される訳ですから、やはり「男達の勇壮な祭り」であることは必至です。

自らの命を危険に晒してまで祭りの指揮をとるその姿には、映像でももちろんですが、生で見るとさらに「カッコイイなあ」という思いが増し、惚れ惚れとしてしまうことは間違いありませんので、ぜひあなたも大工方の勇壮な姿にハートを撃ち抜かれて下さい。

まとめ

約300年の歴史を持ち、やりまわしやかち合いなど様々な見どころがあるだんじり祭り

関西を代表する祭りとして、ますます発展していって欲しいですね。