現代においての男性用の整髪料はジェルやワックスが主ですが、その中でもポマードとは一体どんなものなのでしょうか。
またその種類や、バッチリ合う髪型も気になりますよね。
そのため今回は「ポマードってどんなもの?種類や合う髪型も!」をご紹介します!
ポマードとは?
ポマードとは、練り油に香料を混ぜて作られた男性用の整髪料です。練り油は油分が強く、強力なセット力を持っているため、1970年代~80年代にかけて不良学生の代名詞と言っても過言では無いほどのブームを誇っていたリーゼントのほか、大人の男性を演出し、落ち着いた印象を与えるオールバックなどには、最適の整髪料なんですよ。
事実、現在では男性用の整髪料と言えばジェルやワックスなどが主流ですが、それらが世に出るまではポマードが主流でしたしね。
また特性としては、ワックスには無い独特のツヤが出るほか、油であることから強力なセット力がありつつも、ジェルのようにガッチリと固まらないということが挙げられます。
つまり、セット後であっても、クシさえあれば「もうちょっとここをこういうふうに・・・」という感じで、いつでも調整できるという訳なんですよ。
そう、その昔流行ったロックバンド・アラジンの「完全無欠のロックンローラー」の冒頭の歌詞のように。
このことから、今この時代にあっても、ワックスやジェルなどの整髪料ユーザーの男性達から再び注目を浴びていると言われています。
そもそもポマードの歴史は非常に古く、何と今から約100年前の1920年(大正9年)に「日本におけるポマードのパイオニア」と言える「柳屋ポマード」が発売されたんですが、その当時は一般家庭にドライヤーがあることが珍しかったため、多くの男性は毎日のヘアセットに苦戦していました。
この柳屋ポマードの発売により、濡らした髪にクシでポマードを撫でつけるだけでセットできるようになったため、この方法が一般化し、ポマードが浸透していったんです。
100年も前に発売されたものが、現在でもロングセラーを記録しているというのは凄いですよね。
ちなみに、日本に本格的にロックンロールを根付かせた人物として知られているロック歌手の矢沢永吉さんも、1972年(昭和47年)にロックバンド「キャロル」のリーダーとしてデビューした当時から、ステージに上がる際には柳屋ポマードでビシッとリーゼント(正確にはオールバック)にキメていましたし。
だからなのか、当時彼がコンサートのステージに上がると、会場全体に柳屋ポマードの匂いが充満していたという逸話がある(昔の矢沢さんのファン層は、8~9割が男性でした)など、彼を熱烈に支持する男性ファンを含め、柳屋だけではなくポマード自体が、その当時俗に「不良・ツッパリ」と呼ばれていた若い世代の男性達の必須アイテムとなっていきました。
ポマードの種類
では、そんなポマードの種類には、どんなものがあるのかというと・・・
- 油性ポマード
- 水性ポマード
があります。
こう書くと中には「えっ、これだけ?」と思った方もいらっしゃると思いますので、油性・水性の説明はもちろん、それぞれの代表格とも言える製品も含めてご紹介していきますね。
では早速。
油性ポマード
油性ポマードは、練り油に香料を混ぜて作られています。
冒頭でご紹介したものですね。
なお、「団塊の世代」と言われる現在60代~70代の男性が、「ポマード」と言う際はほぼ間違い無くこちらを指しているんですよ。
その世代の方々の時代には、油性しかありませんでしたからね。
また、水を弾くという特性があることから、整髪を行うと「これでもか」というほどに強力な力を発揮し、バチッとキメてくれる反面、入浴をして洗い流す際は、シャンプーをしただけでは到底落とせないんですよ。
かく言う僕も過去にはこういった油性ポマードを使っていたんですが、ポマードを落とす手順としてはまずシャワーの温水で髪を濡らし、石鹸で洗髪することで油分を浮かせます。
そして、それをしっかり洗い流してからシャンプーをするという「2段階洗髪」が必要になります。
ですので、「1度に2回も髪を洗うなんて・・・」という面倒くさがり面倒臭がりな人には、不向きと言えるでしょう。
そんな油性ポマードの代表格はというと・・・
柳屋ポマード
既述したように、柳屋ポマードは1920年(大正9年)に発売された、日本初のポマードです。
昔ながらの「ヒマシ油」や「モクロウ」など植物性の原料で作られており、優れた整髪力があることから、一般的に「欧米の方々に比べると硬い」と言われている日本人の髪でもビシッとキメてくれ、1日中キープしてくれるんですよ。
ちなみに、僕は学生時代、矢沢永吉さんの熱烈なファンだったことから柳屋ポマードを愛用していた(矢沢さんがステージに上がる時に付けていたものが柳屋だったので)んですが、その強力な整髪力と独特の匂いにいつも癒されていました。
ただ、家族からは「またポマードを使ってるのか!臭いんだからやめてくれ!」と大ひんしゅくを買っていましたが・・・。
このことから、学生時代の僕と同じ「自分は矢沢さんのファンだから、昔の彼みたいにバチッとリーゼントにしたい!」という人や「日本初のポマードがどんなものなのか興味があるから、試してみたい!」という人には、ぜひオススメですよ。
MG5ポマード
柳屋ポマードと並んで「油性ポマードの2大巨頭」と言えるMG5ポマードは、老舗化粧品会社としてその名を知られている資生堂が手掛けているブランドであるMG5より、1963年(昭和38年)から発売されているポマードです。
なおMG5という名称について解説すると、MGとは「Modern Gentlemen(モダン・ジェントルマン)の略であり、5は「ベタベタしない」「テカテカ光らない」「ソフトに仕上げる」「栄養を与える」「簡単に洗い落ちる」という5つの特徴を表しているんですよ。
その特徴を読むと、どこか「ポマードっぽくないな」と感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、柳屋と同じく油性ポマードですので、やはり「強力なセット力がある」というメリットと「シャンプーだけでは落ちにくい」というデメリットを持っています。
香りに関してはフローラル系の香りとされていますが、使う人によっては「初老の男性っぽい」、またやはりと言うべきか「臭い」と感じる場合もあるので、最終的には好みの問題と言えるでしょう。
では続いて、水性ポマードについて解説していきます。
水性ポマード
水性ポマードとは、水素添加した油を使用して作られているポマードのことで、別名「グリース」とも呼ばれています。
その名前通り水に弱く、油性のものと比べると格段に洗い落としやすいというメリットがあるほか、油性ポマードのメリットのひとつである強力な整髪力はそのままに、油性ならではのベタ付きや、人によっては臭いと感じることもある独特な匂いなどのデメリットを取り払った、油性のものを愛用していた世代からすればまさに「次世代のポマード」なんですよ。
ですが、汗をかきやすい夏場や雨が降っている日には使用しない方が良いでしょう。
何と言ってもせっかくキメたヘアスタイルが崩れてしまいますからね。
お笑い芸人のとにかく明るい安村氏ではありませんが、「安心して下さい、無傷ですよ(髪型が)」と言えるように、そういった時はスーパーハードのジェルなどを使うことをオススメします。
また、その種類も元来のツヤ感溢れるもののほか、ツヤが出ないもの、ワックスのようにツヤを抑え俗に言うマットな仕上がりになるもの、液体タイプやパウダータイプなど、様々なものが販売されているので、自身の好みに合わせて選ぶことができます。
では、そんな水性ポマードの代表格はというと・・・
クールグリースG
この製品はポマードなどの整髪料のほかにも、女性用の化粧品などを販売している「阪本高生堂」のもので、整髪力・ツヤ感・ウェット感共にバッチリなことから、その売り上げは他のブランドを含めてダントツNo.1と言われています。
また、ワックスと合わせて使いやすいというメリットもあるので「このクールグリースだけじゃ、どうも物足りないな」という人は、せひアレンジして使ってみてはいかがでしょうか。
なお、匂いとしてはライムのそれですので、柑橘系の匂いが好きな方は、フタを開けた瞬間に「凄く良い匂いじゃん!買って良かったなあ」という気持ちになることでしょう。
クックグリース エクストラハード
これも上でご紹介したものと同じく「阪本高生堂」のものなんですが、ニワトリのイラストが印象的なこの製品のウリは、何と言っても「エクストラハード」の名前にピッタリの強力な整髪力です。
さらにただ付けるだけではなく、ドライヤーで温風と冷風を交互にあてることで、まるでスーパーハードジェルのようにバチッと固まるので、さりげなくではなく、いかにも「ビシッとセットしてます、キメてます」という感じを出したい人にはピッタリなんですよ。
そう、たとえば「俺、永ちゃん(矢沢永吉さん)が好きだから、よくリーゼントとかオールバックにするんだ」という人には特に。
またパイナップルのフレーバーがとてもGOODですので、香水ではありませんが、付ける量を間違えさえしなければ、周りから避けられてしまうこともありませんし、男女問わず良い反応が返ってくることでしょう。
クールグリース ダブルエックス
こちらもまたまた「阪本高生堂」の製品で、クックグリースに勝るとも劣らない強力な整髪力が自慢です。
また、ツヤの度合いやウェット感もクックグリースに負けておらず、付ければまるで髪が輝いているように見えるほどなんですよ。
ちなみに、ポマードと言えば油性・水性問わず「テカリ」が代名詞ですので、上でご紹介したクックグリースのように「いかにもポマードでセットしている」という気持ちを味わいたい方にはピッタリです。
フレーバー(香り)としてはモンキーバナナのそれですので、バナナの香りが好きな人にはもってこいと言えるでしょう。
ポマードに合う髪型
このように、油性・水性の中にもさまざまな種類があることが判るポマードですが、ではそんなポマードでキメるのにピッタリの髪型はどんなものがあるのかというと・・・
- リーゼント
- オールバック
などが挙げられます。
それぞれ順に解説すると・・・
リーゼント
団塊の世代と言われる男性からすれば、「ポマードでキメる髪型と言えばこれだろう!」というぐらい第一候補として挙げられるのが、このリーゼントです。
特に、1970年代から1980年代にかけては、ロック歌手の矢沢永吉さんをはじめ、かつて宇崎竜童さんがリーダーを務めていたロックバンド「ダウンタウン・ブギウギ・バンド」、そのほか「横浜銀蝿」などいわゆる「ツッパリブーム」が起きており、また彼らのヘアースタイルがこのリーゼントだったため、ファンの男性達がこぞって真似をしたんですよ。
また、それ以前であればや「監獄ロック」や「ハウンドドッグ」などのヒット曲を持ち「キング・オブ・ロックンロール」の愛称で知られているエルヴィス・プレスリー氏などが知られていますね。
このリーゼントの名前の由来は、イギリス・ロンドンにある左右対称の大通り「リージェント・ストリート」に由来しており、両サイドの髪をクシで撫でつけ、後頭部でアルファベットの「I」の字型にピタッと合わせた様を上から見た時、このリーゼント通りに似ていることから名付けられたと言われています。
ちなみに、日本でリーゼントと言えば、前髪の部分をまるでニワトリのトサカのように前へ突き出しているスタイルをイメージしてしまいますが、実はこの髪型は「ポンパドール」と言うんですよ。
ですので、リーゼントとは左右対称の大通り「リージェント・ストリート」が由来となっている両サイドの髪を後頭部で合わせるスタイル(ダックテールと呼びます)のことを指すんです。
つまり、僕達/私達がリーゼントだと思っているヘアースタイルは生粋のそれではなく、ポンパドールスタイルのリーゼントだったという訳です。
今現在、このリーゼント(ポンパドール)をしている人は非常に少ないだけに、このスタイルで街を歩けば行き交う人々の視線を集めることは間違いないでしょう。
オールバック
このオールバックは、その名前通り髪を全て後ろに流すだけで簡単に整髪できることから、ポマードでキメるのにもってこいの髪型です。
人によっては、オールバックに対して「任侠映画とかヤンキーのそれに出演している俳優さんがやっていそう」というイメージがあるかもしれませんが、元来オールバックは紳士の髪型であり、高級ホテルの従業員の方やバーテンダーなど、品のあるサービス業に従事している方も、好んでこの髪型にしていることが多いんです。
もちろん、会社勤めをしているサラリーマンの方でもOKですよ。
また、必然的に額を出すことになるので、女性から見ると「清潔感がある」・「自分に自信がありそう」というプラスの印象があるほか、ソフトにセットしていて前髪が乱れてきた場合であれば、大人の男のセクシーさを演出することができますしね。
ちなみに、20代の頃の矢沢永吉さん(何回その名前を出すんだ!というツッコミはご遠慮下さい)は、ステージに上がる際にほぼ例外なくリーゼント(ポンパドール)に整えていたんですが 1度だけこのオールバックスタイルにしたことがあったんです。
当時彼は27歳の青年だったんですが、良い意味でとてもそうは見えないほど大人びており、まさに「大人の男の色気」を全身から放っていました。
もし筆者である僕が女性なら、目がハートになって恋に落ちていたことは間違いないでしょうね。
このように、オールバックにすると実年齢より大人びて見えるほか、ある程度年齢を重ねた男性であれば普段よりも圧倒的に渋みが増すので、もしもあなたが「渋い大人の男」に憧れているのであれば、ぜひリーゼントよりも落ち着いて成熟している印象を与える、この髪型にすることをオススメしますよ。